原田和道

東京生まれ。親の転勤のために、札幌、仙台、名古屋で育つ。小学時代お気に入りの本は“四次元の世界の不思議”。たまに絵を褒められるくらいでごく普通の少年だった。

 

 

中学時代、ソクラテス、デカルトのエピソードに衝撃を受け、この経験が自らの感覚としてわからないこと、納得できないことへの探求的傾向につながっているようである(答えを強制される感じに納得できず、高校時代国語の成績は低迷していた)。スポーツは好きで、長年野球を続けてきた。最近では、身体の誤差に正直に反応し、「できなさ」を痛感させてくれるスポーツを愛好している(社会人になってからは競技スキー、ゴルフ)。

 

 

高校時代に物理の発見の歴史に出会い、特にアインシュタインの発見、エネルギーに置換できる物質という“もの”の不思議さに心震える体験をする。高校3年時には学年1番の成績にもかかわらず、進学すること自体の意味を問われ、様々考えながら格闘した時期を過ごす。名古屋市立大学薬学部に入学、生薬学教室で修士課程まで漢方の免疫薬理の研究に従事。卒業後は製薬メーカーの研究職に就いて新薬を探索研究する日々だったが、本当にこれで人が治るのかについて疑問をもつ。

 

 

退職して、地域の薬局に勤めるが、そこで人が治っていかない実態を目の当たりにする。西洋医学以外の療法もさぐる中で、ホメオパシーの可能性に出会い、東京のハーネマンアカデミーで学び、これほど理にかなった療法がないことを確認した。卒業後は同校で約2年間講師を務め、今はフリーで、ホメオパシーの臨床とプロを目指す後続たちの指導にあたっている。20112013年は、福岡でホメオパシー連続講座「THINK!」の講師として呼ばれ、現在もオンライン講座の開催が続いている。

 

 

「自分は至って普通の人です」と本人は言うが、周りからの評は、「あまりにも普通すぎて、逆にどこにもいない」。ホメオパシーを通しても、人との会話を通しても、続けていることは「まっとうに考えること」ただ一つと言える。あまり人前に出るタイプではなく、教えを乞われなければ話そうとしないが、出てくる言葉にはどこで聞くこともできない深みがある。

 

 

ホメオパスとしても活動しているが、臨床家というよりも研究家寄りで、あまり多くの患者さんをとることはしない。また、一人の患者さんにかける時間もしばしば長く、問診に56時間かかることもある。ストイックにレメディーを探求するため、深いところからの治癒を経験している患者さんは多く、高い評価を得ている。

 

 

影響を受けた人物は、ソクラテス、デカルト、シュタイナー、小林秀雄。横浜に、妻と小鳥2羽と暮らす。

 

 

(文:刀禰詩織)